210831 白馬に遊ぶ


コロナ禍が一向に収束せず、昨夏に続き今夏も山小屋泊の登山から遠ざかっています。
久しぶりの後立山エリア訪問です。

今回の旅は、白馬村のコテージに3連泊し、トレッキングしながら白馬三山を撮るというものです。ところが晴れベースの天気は出発の前日で終わり、天気予報は雨です。唯一曇りで推移しそうな8月31日にすべての希望を託して…。
 
なるべく人と接しないようにと、コテージ泊にしました。
白馬には「みそらの」「エコーランド」等の地区に実にたくさんのペンションがありました。そして、実に賑わっていました。かつては。
近年は自慢の料理でもてなす1泊2食付きは少なくなり、素泊まり(または朝食付き)が普通になっているようです。宿泊客も中国や台湾からの人が主になっていました。私は、かつてのペンションと近年のそれの両方に泊まっています。何だか寂しい気分です。
そこへコロナ禍です。インバウンドは途絶えました。今もなお多くの建物がありますが、閑古鳥が鳴いています。
お世話になったコテージ「白馬フィールドデイ」は、そうしたかつてのペンション跡地に誕生した新しい業態です。それでももう20年になると宿主は言っておられましたが。
コテージ玄関。入ってすぐ左の棟に宿泊した。
オーナーと顔を合わせたのは、チェックインとチェックアウトの時だけ。 
リビングの外にあるテラス。 
キッチン。調理器具一式には食器乾燥器まである。写真の手前に広いリビングがある。冷蔵庫の後ろが、洗面所や風呂。風呂には浴室・洗濯乾燥も付いている。
十分な大きさの浴室であったが、 毎夕、日替わりで源泉掛け流しの温泉に通った。
2階は寝室が2部屋。この部屋に4人、もう一部屋に6人(ベッドに3人、ロフトに3人)寝られる。
料金は1泊12000円ほどと安価。さらに2泊目は3割引、3泊目は5割引。 
さて、8月31日。

日の出は望めそうになかったので、白馬三山のモルゲンロートというシチュエーションは諦め、5次半に起床。
コーヒーを淹れ(いつもの道具一式を持ってきた)、ゆっくりと朝食をとる。
7時前、猿倉に向けて出発。

途中、白馬大橋に立ち寄った。
ここに立てば、松川の流れの先に白馬三山が見える。はずだった。実際にはお山は雲の中。
白馬大橋にて。八方のスキー場が見える。 松川の流れの先の雲の中に白馬三山がある。
1車線から1.5車線幅の林道を20分ほど走ると、標高1250mに建つ猿倉荘に到着する。
ここは白馬大雪渓を経て白馬岳に登る登山口にあたる。

今回は、雪渓の上をほんの少し歩いてくるというハイキングである。

7時35分、猿倉荘発。
わずかに歩くと、林道に出る。そこから長らく林道を歩き、やがて登山道に入る。
8時34分。「おつかれさん! ようこそ大雪渓へ」と書かれた大石に迎えられて、標高1560mの白馬尻小屋に到着。もっとも今年は営業しておらず、小屋の組み立てもしていなかった。
猿倉荘 白馬尻小屋下
白馬尻小屋から20分ほど登ると大雪渓ケルン(標高1640m前後)があって、その辺りが歩行可能な雪渓の尻になるらしい。しかしそれはもっと早い時期のこと。8月の終わりともなれば雪解けが大きく進み、「尻」はさらに上部に移っていた。ケルンから20分ほど登っていくと、ガスの中に大きく口を開けた雪渓の端が現れた。
しばらく待ったが、視界が効かない。諦めて下りかけた時、雲が流れて雪渓の上部が見えた。急ぎきびすを返してカメラを向けた。

クレバスを避け、実際に雪渓に下りられたのは標高1700mを優に超えた地点だったろう。雪渓に立つと、傾斜は見た目よりもずっと急だった。さらに上部をめざそうとしたが、はや白の世界になってしまった。アイゼンは持ってきていたが、装着することもなく短時間で引き上げた。
白馬尻小屋の地点まで戻り、雲の流れを待った。10分ほど待って写真を撮り、猿倉へ下った。
大雪渓ケルンの少し上にて。 ガスの中に雪渓の尻が見えてくる。ロープが張られている左を登っていく。
雲が流れて、雪渓の上部が姿を見せる。再奥が杓子岳から白馬岳に向かう稜線の最低鞍部になる。 クレバスの上辺りから雪渓に下りる。雪渓は土砂で汚れ、固い。写真ではなだらかに見えるが、実際はかなりの急登。中央に張り出した小山を超えて向かう側の絶景を見ようと試みたが、そこは崩れやすい壁だった。
上の方に見えるのは、大雪渓の上部にある小雪渓と思われる。 歩行可能に大雪渓の末端部分。
雪渓の下を雪解け水が流れている。 清冽な雪解け水の流れ。
白馬尻小屋の地点まで戻って、雲の流れを待つこと10分。 白馬岳の頂上は、右端の山の向こうあたり。
丸山がくっきりと姿を見せる。登山道は、この山の中腹を左から右に上がっていく。 丸山(標高2768m)
11時30分に猿倉に戻り着いた。
そこから車で村の入り口まで戻り、和田野の森から黒菱林道入る。和田野の標高が815m前後、林道を9kmほど走ったところにある黒菱駐車場の標高が1500m。わずか20分ほどの間に、700mも高度を上げることになる。
駐車場のあるところは下からのリフトの終点であり、さらに上に向かうリフトの乗り場でもある。カフェテリア黒菱という建物の裏に回ると、そこは白馬三山の絶好の展望台になっている。
運良く林道を上がっていくうちに雲が晴れ、きれいな山姿を望むことができた。私たちはベンチに腰を下ろし、持ってきたパンを食べながら、三山の絶景に浸った。
30分もすると雲が湧き、パノラマ劇場は終わった。

この日は、大雪渓から流れ下りてくる松川の川音を聞きながら、「おびなたの湯」の露天風呂に身を沈めた。
 
 白馬三山。左から白馬鑓ヶ岳、杓子岳、白馬岳。 白馬鑓ヶ岳(2903m) 
杓子岳(2812m)  白馬岳(2932m) 
白馬三山と、それに続く峰々。中央が三国境(標高2751m)、小蓮華山、右が白馬乗鞍岳。  小蓮華山 
小蓮華山(標高2766m)                               白馬乗鞍岳 (2469m)            



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