おおさか街ある記

2019年5月12日

 大阪城ホールで母に感謝のコンサートがあった5月12日(母の日)、開演までのフリー時間を使って大阪の街中をひとり歩きした。
 スタートは近鉄日本橋駅、午前9時。ゴールは大阪城公園駅、12時30分。
 日本橋は南にある電気街へ行くために何度も来たが、北側の地上へ出たのは初めてである。北へ200mほど歩くと道頓堀川がある。そこまでの間に出会った多くの人のほとんどが大きなキャリーバッグを引っ張っている台湾を含む中国人で、異国を感じる。橋の手前を左に曲がると場外馬券を売っているウインズ道頓堀があって、そこから川畔に下りる。道路から1段低い川辺の遊歩道が「とんぼりリバーウォーク」で、両岸の店舗ビルが川に向かって口を開けている。都会の真ん真ん中ではあるが意外と落ち着いていて、なかなか面白い。ドン・キホーテなんか、まるで遊園地の観覧車の風情だ。
 御堂筋で「地上」に上がり、若葉のイチョウ並木通りを北上。心斎橋を過ぎ、船場を過ぎ、博労町と南久宝寺町の間に難波神社がある。ここの境内に、大阪市の保存樹第1号に指定されたクスノキの大樹があるというので立ち寄った。樹齢約400年、幹回り3m超の大木が、巨大ビルが建ち並ぶ御堂筋のすぐ隣にあることが興味深い。
 さらに北上して今橋3丁目交差点を左折、2つ目の通りを北上。ここから土佐堀川に出合うまでの区間が「魚の棚筋」で、「大阪まちなみ賞」を受賞している。クスノキの若木の並木道なのだが、これはビル事業主の協力(つまりは土地提供)で実現した都会的空間の中につくられた豊かな緑だという。意気に感じるね。
とんぼりリバーウォーク ドン・キホーテの広告塔
難波神社の大クスノキ 魚の棚筋
 土佐堀川と堂島川に囲まれた中州が中之島で、御堂筋に架かる橋が淀屋橋と大江橋。淀屋橋北詰で中州に下りると、目の前に大阪市役所が建っている。市役所の向かいが中之島図書館、その隣が大阪市中央公会堂。それらの構造物にカメラを向ける人が結構多い。私も含めて…。その先の北浜にある証券取引所が見える辺りから、中之島バラ園が広がる。89種類、約4000株のバラはまさに満開を迎えていた。ビル街の中に広がるオアシスである。外国人観光客を含めて多くのハイカーが訪れていた。
大阪市役所 中之島図書館
大阪市中央公会堂 土佐堀川をゆく川船
中之島バラ園
 バラ園の先、天神橋で中之島と別れ天満橋へ向かった。どうやらバラ園まで歩くイベントがあったようで、すれ違う人波が途絶えることはなかった。天満橋から谷町筋を南下、谷町3丁目交差点を左に折れて舎密局(せいみきょく…明治維新期における化学技術の研究・教育、および勧業のために作られた官営・公営機関。舎密とは、オランダ語の理・化学を意味する。)跡のクスノキの大木を見る。道向かいが大阪家庭裁判所で、左隣がNHK。NHKに隣接して大阪歴史博物館があって、建物の南広場が難波宮跡の一部。前期難波宮は大化の改新の時代に3年ほど、後期難波宮は奈良時代に1年ほどといずれも短期間ながら、奈良が政治の中心だった時代の史跡である。南側の史跡公園との間には阪神高速道路が走り、歴史に思いをはせるといった雰囲気はない。
 大阪歴史博物館の前、馬場町の交差点を渡ると大阪城公園に入る。ここから反時計回りで大手門前を通り、京橋口で堀を渡り、天守閣に通じる極楽橋へと歩いた。新緑と見る角度によって姿を変える天守を楽しんだ。秀吉の評価、城の評価は無条件で手放しにとはいかないが、ちょっと横に置いておこう。それにしても、韓国や中国からの観光客が多いことにはちょっと驚く。
 極楽橋の先で再び堀の外に出れば、やがて大阪城ホールの脇を経て大阪城公園駅である。12時7分、到着。2万歩ほどの大阪街歩きは、思いのほか楽しい時間になった。
舎密局跡の大クスノキ NHK・大阪歴史博物館と難波宮跡
大阪城・六番魯と堀 大阪城・大手門 ほぼ外国人客
大阪城・堀の向こうが西の丸庭園 大阪城・天守入り口の裏側
大阪城・乾櫓と堀 大阪城・肥後石 高さ5m、幅10m超の巨石
大阪城・京橋口先からの天守と内堀 大阪城・京橋口先からの天守
大阪城・極楽橋と御座船 大阪城・極楽橋からの天守



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