唐松岳逍遙

2018年6月30日〜7月1日

 北アルプスの入門コースとはいえ、唐松岳は標高2696mの高山である。本来なら「登山記」であるべきなのだが、ゆえあって「逍遙」。どうも膝の調子が思わしくない。今回はもう少ししっかりと「登山」する計画を立てていたが、急遽断念して本「逍遙」となった。その「逍遙」が現状では精一杯といったところで、しばらく「登山」は休みになりそうな気がする。

 白馬駅前からまっすぐ延びる道路を進むと、白馬八方尾根スキー場がある。ゴンドラの八方駅から八方尾根ゴンドラリフト、アルペンクワッドリフト、グラートクワッドリフトを乗り継ぐと、標高1830mの八方池山荘に到着する。ここから1時間10分で八方池(標準コースタイム)、さらに2時間で丸山ケルン、ラスト1時間で唐松岳頂上山荘にたどり着く。ここまで4時間10分、山頂へはさらに20分の登りである。

 ところで、「八方」という地名の由来であるが、唐松岳から四方八方に尾根が延びていることから「八方尾根」と名付けられたらしい。今回の「逍遙」は八方尾根の「本丸」へのアタックということになる。

【6月30日(土)】
 8時にゴンドラが動き出す。週末とあって、8時前には順番待ちの列ができていた。8時40分ごろに歩き出し、12時過ぎには小屋に着いた。(八方池から丸山ケルンの所要時間は、標準タイムほどかからないようだ。)この日は終日視界が晴れず、展望は天候が良くなる予報の明日にお預けだ。
【7月1日(日)】
 3時半頃に外を見ると、十六夜の月明かりのなかに山並みが見えた。小屋の情報では日の出時刻は4時21分。しっかりと着込んで小屋の裏山に登り、その時を待つ。3時50から1時間、至福の刻を過ごすことができた。

 さあ、ショータイム。まず【山逍遙】を時系列に貼る。その後に【花逍遙】を往路・復路の別なく「八方池山荘〜八方池」「八方池〜丸山ケルン」「丸山ケルン〜唐松岳」の3部に分けて貼る。では、はじまり、はじまり〜。
【山逍遙】 
6月30日午前8時43分、八方池山荘を出発して間もなく。雲の下に白馬の家並みが見える。 もうすぐ丸山ケルンという位置にある雪渓。このあと、丸山ケルンと唐松岳頂上山荘間では10カ所近い雪渓・雪田を歩くことになる。
11時、丸山ケルン通過。背後の雲のなかに白馬三山がある。 12時、上り切った先、真下に唐松岳頂上山荘の屋根が見える。大きな山塊が唐松岳。前方には剱・立山があるのだが、山頂部は雲の中。
7月1日午前3時56分、東の空が明けていく。明るいところの中央が戸隠山で、その左が妙高山だと思われる。 眼下、雲海の下に白馬村の灯が見える。
一番高く尖っているのが妙高山か。 雲海の向こうは戸隠山か。
3時57分、十六夜の月と五竜岳(2814m)。後方は剱岳。西の空の雲がピンク色に染まってきた。 唐松岳(2696m)。左の写真の少し右方がこの写真になる。
十六夜の月と立山・剱の峰々。 唐松岳の右側斜面が明るさを増していく。唐松岳の右に延びる凸凹が不帰ノ嶮。
不帰ノ嶮(かえらずのけん)は唐松岳から白馬岳への縦走時に通る我らには無縁の難所。左からV峰、U峰南峰(2614m)・北峰、T峰と続き、その先が不帰キレット(2411m)である。 黎明−−雲と光のオブジェ
黎明−−雲と光のオブジェ 立山・剱の空が濃いピンク色に染まった。
五竜岳と立山 左端が薬師岳(2926m)、中央の山塊が立山(3015m)、右のピークが剱岳(2999m)。
爽やかな立ち姿、唐松岳。 黎明−−雲と光のオブジェ
立山の左部分が立山三山。中央のくぼみが内蔵助カール。くぼみの右が真砂岳で、その隣・真砂沢カールの右にある存在感のあるのが別山。立山はそれらの総称。 剱岳。剱岳の右に連なるのは三ノ窓、小窓などの岩峰。左へ少しくだったピークが前剱と一服剱、その奥には大日の峰が見えている。
戸隠山の右手(東方)に日が昇り始める。  4時29分、日の出。 
唐松岳モルゲンロート。  モルゲンロートに染まる唐松岳と不帰ノ嶮。 
 唐松岳と不帰ノ嶮の間の雪渓が朝日に染まる。 牛首と五竜岳のモルゲンロート。直下には唐松岳頂上山荘の屋根。 
五竜岳(2814m)。大きな山だ。  4時34分、立山連峰がモルゲンロートに染まり始まる。 
山頂部がモルゲンロートに染まる薬師岳、立山。 山頂部がモルゲンロートに染まる立山。幻想的であり、芸術的な光景が広がる。
山頂部がモルゲンロートに染まる剱岳。マッターホルンのモルゲンロートを想起させる。 唐松岳の右手、天狗ノ頭(2812m)。その奥に見えるピークが白馬三山。
朝の陽光に染まる不帰ノ嶮。 陰と陽、唐松岳。
天狗ノ頭の山裾まで陽光が届き、雲を染める。手前が不帰ノ嶮U峰南峰・北峰、T峰。 不帰ノ嶮V峰。
白馬三山(中央に大きく見えるのが鑓ヶ岳、右の尖りが白馬岳、その間に杓子岳がある)にも日差しが届きだした。 雲が朱に染まる。
白馬三山の奥の眺望。中央あたりが小蓮華山(2769m)で右が白馬乗鞍岳(2437m)、そこを下ったところが栂池自然園である。 4時39分、明るさを増す西の空。
陽光が立山の中腹まで下りてきた。 陽光が剱岳の中腹まで下りてきた。
立山三山。左のピークが雄山(2992m)で、すぐ上にある雄山神社(3003m)の祠が確認できる。真ん中のピークが大汝山(3015m)で、立山連峰の最高峰である。頂上の右下に建つ大汝休憩所が見えている。右のピークは富士ノ折立(2999m)。 別山。正面が北峰(2880m)で、剱岳の好展望地。頂上の左奥のピークが南峰(2874m)。
剱岳の山頂部。右の尖りは長次郎のコル、奥は早月尾根を上がってきた獅子頭らしい。 五竜岳の右手奥に鹿島槍ヶ岳が見える。
双耳峰の鹿島槍ヶ岳。双耳の右・北峰は2842m、左の南峰は2889m。左すぐ奥に爺ヶ岳(2670m)の山頂部が見えている。 鹿島槍ヶ岳(2889m)。
五竜岳の右はるか奥の山並み。左のピークは水晶岳、右は赤牛岳(2864m)のようだ。 水晶岳(2986m)、別名黒岳。
薬師岳(2926m)。 薬師岳。右手のピーク北薬師岳(2900m)との間に金作谷カールが見えている。
五竜岳。6時53分、小屋から15分ほど下った地点で。 雲海に浮かぶ妙高山(台形の山の向こうにある尖り部分)。
白馬三山とその先の峰。 6時13分、丸山ケルンから唐松岳と不帰ノ嶮を望む。中央が不帰ノ嶮V峰で、左のピークから順にC、B、A、その右がU峰南峰(2614m)。
不帰ノ嶮。 丸山ケルン。雲海の向こうに妙高・戸隠の山影。
天狗ノ頭と白馬連峰。 五竜岳と鹿島槍ヶ岳。場所は丸山ケルンから15分ほど上部。
鹿島槍ヶ岳。双耳がきれいに見える。 五竜岳。牛首からの登山道がくっきりと見える。
ニッコウキスゲと五竜・鹿島槍。 五竜岳と鹿島槍ヶ岳。先ほどの写真から1時間ほど下った地点。
五竜岳。 鹿島槍ヶ岳。
緑の若葉と霧と白馬連峰と。 白馬三山。左から鑓ヶ岳(2903m)、杓子岳(2812m)、白馬岳(2932m)。八方池から少し上がったところにて。
杓子岳。三山の中ではちょっと影が薄いのだけれど…。 八方池。霧が湧き、風で晴れ、また霧が湧き…。池と白馬の両方がクリアになることはなかなかない。8時45分、束の間のその瞬間がやってきた。
水面に鑓ヶ岳と杓子岳の山影が映る。
池を覆っていた雪がまだ残っている。
 眼下に白馬村が見える。パラグライダーが2つ、3つ舞っている。 リフトが「日常」へと運んでいく。 
【花逍遙 八方池山荘〜八方池 
ニッコウキスゲ ウラジロヨウラク
ワタスゲ ワタスゲ
チャボゼキショウ クモマミミナグサ
チングルマ チングルマ
ミヤマムラサキ ユキワリソウ
イワイチョウ イワイチョウ
ヨツバシオガマ ヨツバシオガマ
テガタチドリ テガタチドリ
コバイケイソウ オオタカネバラ
ハッポウウスユキソウ ハッポウウスユキソウ
タテヤマリドウ タテヤマリドウ
チシマギキョウ チシマギキョウ
キヌガサソウ
【花逍遙 八方池〜丸山ケルン 
ハクサンチドリ コバイケイソウ
シラネアオイ シラネアオイ
エンレイソウ ユキワリソウ
ミヤマアヅマギク マイヅルソウ
イワシモツケ イワシモツケ
イブキジャコウソウ
【花逍遙 丸山ケルン〜唐松岳
ハクサンイチゲ ハクサンイチゲ
ミヤマダイコンソウ
クロユリ クロユリ
コマクサ コマクサ…美しい花と、常に砂礫が動き、他の植物が生育できないような厳しい環境に生育することから「高山植物の女王」と呼ばれている。
コマクサ…漢字で書くと「駒草」。 コマクサ…駒は馬のこと。花の形が馬の顔に似ていることから、駒草の名が付いた。
コマクサ コマクサ
コマクサ



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